小売業においてもDX化の動きが加速してます。

目まぐるしい変化を続ける市場に対応するには、DXを活用し変化に対して俊敏に対応できる企業体質が必要です。

しかし、小売業でDXに取り組む場合、これまでの買い物体験がデジタルに置き換わるとどうなるか気になると思います。

こちらの記事では小売業にてDXに取り組んだ企業をご紹介します。実例を知ることで自社に活用できる部分を知ることができます。

なぜDXに取り組むのか?

DXに取り組む理由は2つあります。

膨大なデータに対応できない

スマホやタブレット端末などの普及とともに、顧客接点は以前より増加しました。しかし顧客接点が増えることによってマーケティングが複雑化し考えなければならないポイントというのが膨大になってきました。よって、効果的な戦略を出しにくくなります。

市場の変化に対応できない

あらゆる業界でDXが進んでいくと、社会の需要と消費者行動に変化が起きると考えられます。

例えばAirbnbやTeslaなど、かつての観光/自動車業界では考えれなかった変化が起きました。DXを行わないとこのような市場に変化に乗り遅れてしまう可能性があります。

 

DXとは

DXとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と言われています。

 

小売業におけるDXの事例

1 イオンリテール 「レジゴー」

「レジゴー」専用スマートフォン

レジに並ばない買い物

イオンテールのレジゴーは、商品を買い物かごに入れる際に利用客が自ら商品をスキャンすることでレジの待ち時間を減らすことを可能にしています。レジの行列ができないなど利用客にとってストレスフリーな買い物体験が可能になり購入体験の向上に期待できます。

当初は専用スマートフォンが店舗入り口に配置され専用端末を用いてスキャンを行なっていました。しかしどのように使えば良いかわからず利用率が伸びなかったそうです。そこでカートにスマートフォンをおける専用マウントを設置したところ、「レジゴー」利用率が全会計の約20%までアップしました。

一方店舗側にとってもレジ業務に関する人件費を抑えることができると同時にデータ分析が容易になります。実際、レジゴーは売り上げアップにもつながっており導入した全店舗で客単価が15%〜20%向上しています。

現在はiOSアプリもリリースされており、今後ますます便利になることが期待できます。

 

2 BMW BMW i Visualise

“引用: BMW in”

 

ARで購入体験を刷新

これまでの自動車の購入は最寄りのディーラーに訪れ実際に目で見て試乗し購入検討をするのが一般的でした。そこでBMW社は専用アプリを開発し自動車の購入体験に新しい風を吹かせています。

「BMW i Visualiser」

こちらのアプリはARを用いてどこにいても気になる車の実物大を様々な角度から見られるようになっています。顧客は実物を見る前に自分好みのカラーリングやオプションパーツを高い精度で見ることができます。

顧客とデジタルで繋がりを持つことで新たな販売機会を得ることができたDXの事例といえます。

現在iOS版が日本では使用できませんが、Android版であれば一部の機種で使用が可能です。

 

3.「三越伊勢丹リモートショッピングアプリ」

”引用: Apple store”

オンライン接客を実用化

三越伊勢丹グループは11月上旬からテスト導入していた「三越伊勢丹リモートショッピングアプリ」を使用し買物体験を完全オンラインで対応させました(従来通りの実店舗販売は継続)。こちらのアプリを使うことで、実店舗に行かずとも接客から決済まで実店舗と同じような買物体験をすることが可能となっています。

三越伊勢丹WEB会員を対象としておりチャットでの接客が可能です。さらに商品説明が必要な場合は、オンライン接客サービスを利用できるサービスになっています。

現在、50人体制でオンライン接客を対応しており、今後スタッフの増員を予定しています。さらにオンライン接客を専任で担う「デジタルネイリスト」の導入も視野に入れています。

チャット、オンライン接客サービスの利用料は無料で、将来的には店頭全ての商品にあたる約100万種類を取り扱う予定です。

これまでECサイトや店舗での購入データだけでは、リアルな客の声がわかりませんでした。ある商品が急に売れた場合でも、売れた理由を社員が憶測するしかなかったのです。しかしアプリ導入によってチャット履歴が残るため、購入理由がより明確にわかるようになります。これにより顧客ごとに的確なおすすめ商品の情報を流したり、次回以降の接客時のコミュニケーションに役立てることができます。

オンライン接客の概要についてはこちらで紹介しておりますので是非ご参照下さい。

オンライン接客の事例3選と導入の際の注意点

4.ミニストップポケット

”引用: ミニストップ株式会社”

新しいコンビニ

これまでのコンビニではオーナーが場所を借り、店員を雇って営業をするというのが一般的でした。しかし「ミニストップポケット」は導入のコストが0円かつ店員のいない新しいコンビニです。

「ミニストップポケット」は小さい無人コンビニのようなイメージで、利用客は棚から商品をとり、バーコードを自分でスキャンします。決済方法は電子マネーのみです。交通系ICカードやWAONカードなどの電子マネー、PayPayやLINE PayなどのQR決済も可能です。

これまで休憩時間に食事を買いに行く場合は、オフィスの1階まで降りたり、外に出たりする必要がありました。しかし「ミニストップポケット」を導入すれば、わざわざ離れたコンビニに行かなくともオフィス内で買い物ができるようになります。

2020年9月からオフィス向けの「ミニストップポケット」の展開を始め、同年11月までに80ヵ所で導入されています。24時間利用が可能で、1坪から設置が可能になっており狭いスペースでも簡単に設置できます。現在提供エリアは東京神奈川千葉埼玉の1都3県です。

 

5. 「IKEA 原宿」アプリ

引用”App Store”

 

ARで家具配置

イケア・ジャパン株式会社はIKEA原宿のオープンに合わせて専用のアプリを開発しました。顧客のiPhoneのカメラを使用して、ARを用いた新しい買い物体験を楽しむことができます。

アプリを起動してショップ内の家具にかざすと、iPhoneの画面に商品名が表示され、商品名をタップするとその商品の価格や色違いなどを簡単に確認できます。また平坦な場所にiPhoneを向けると家具の配置シュミレーションでき、そんままオンライン購入することも可能です。

現在このアプリはIKEA原宿の店内のみでしか使用できません。今後、自宅などで利用できるようになれば、家の間取りに合わせた家具の配置シュミレーションが可能になると思います。

 

まとめ

今回は小売業におけるDX事例をまとめてみました。

小売業でDXに取り組んでいる企業が増えてきましたが、実際に運用をしている例はまだまだ少ないと感じました。

ですが顧客のニーズは変わり続けます。市場に淘汰されずに利益を出し続けるのであればDXに取り組むことが必須と言えます。