応援消費という言葉を聞く機会が多くなりました。
消費者の価値観がモノ消費からコト消費へと移りゆく中、クラウドファウンディングを中心に伸びている応援消費について概観していきます。
加速する応援消費
2020年2月にジャパンネット銀行が発表した調査結果によると、約60%の人が、お金は誰かのためや共感できるモノに使いたいと回答しています。
自分の消費の価値観と照らし合わせるとどう感じるでしょうか。世代によってもお金を使う軸は違うと思います。
過去を振り返ると日本は過去100年で急速な経済成長を遂げました。物質的に満たされていなかった時代は「共感」に対して消費を行うことは少なかったでしょう。生きるために必要な食材や家を最優先した消費が中心だったのです。
物質的に満たされるようになった現在、消費者は物を買うことだけでは幸せになれないのです。
欲しいものは揃っている。何が満たされれば幸せなんだろう。
物資的満足の次は精神的満足の欲求が生まれます。そこで、人や社会課題を応援して自分を満たしているのです。
応援消費とは?
応援消費とは、元々は被災地支援のための消費を指す言葉でしたが、最近では「ふるさと納税」、「クラウドファンディング」、「推しているアイドルへの消費」など、自分以外の誰かのためにお金を使う行動全般を指します。
ブランドを立ち上げた人の思いに共感して商品を買う消費行動や、NPOへの寄付なども応援消費の一つと言えます。
クラウドファウンディング
参考:一般社団法人 日本クラウドファンディング協会
クラウンドファウンディングと聞くと購入型をイメージしがちですが、種類は様々です。
MakuakeやCAMPFIREなどの購入型クラウンドファウンディングの市場規模は年々拡大しており、2017年の77億円に対し2019年には169億円と2年で倍以上の成長を遂げています。上図のサービスは気軽に使うことが出来、おもしろい商品や発起人の思いが沢山掲載されています。
ふるさと納税
参考:総務省(ふるさと納税に関する現況調査結果)
ふるさと納税とは、生まれた故郷や応援したい自治体に寄付ができる制度です。
手続きをすると、寄付金のうち2,000円を超える部分については所得税の還付、住民税の控除が受けられます。
あなた自身で寄付金の使い道を指定でき、地域の名産品などのお礼の品もいただける魅力的な仕組みです。
ふるさと納税も立派な「応援消費」です。
どうせ住民税を払うなら、自分の生まれた町や、応援したい地域に納税した方が気持ちがいいですよね。
納税するとお礼としてその地域の特産物などが送られてきます。
そのお得感も背中を押して、ふるさと納税で納められた金額も、受け入れ先の自治体の数も年々増えています。
D2C/DNVB
D2Cの詳細については↑でご紹介しているのでお読みください。
一般的なECサイトでは生産者の想いやブランドのストーリーは表現されないですし、実店舗販売の小売も同じです。
しかし、D2CやDNVBではその想いやストーリーを伝え、それに共感した消費者が決済を行います。
なぜ応援消費の市場規模が伸びるのか
応援消費がなぜ加速するか、理由は様々あると思いますがここでは2つご紹介します。
物質的に満たされた日本人
上述しましたが、日本は過去数十年で急激な成長を遂げました。
欲しい物が十分に手に入らず、生活するのに精一杯だった頃は、物を購入することで一定の欲は満たされていました。
高度経済成長を経て、欲しいものは誰でも買える時代になりました。購入するだけでは十分に欲を満たすことが出来ず、小売事業者の過剰な広告も相まって大量に購入してやっと欲が満たせれるようになりましたが、持続可能ではありません。こういった欲は無限であり、すべて必要以上なのです。
そこで欲を満たす他の方法として、応援消費が注目されているのを感じています。
自分が生産者の想いに共感して、納得して購入したため満足出来るのです。
エシカル消費への関心
倫理的で正しいと思えるものにお金を使う「エシカル消費」への関心が高まっていることも、背景の一つにあげられそうです。
特に、社会課題への意識が強いとされるZ世代(1996~2012)が消費世代に成長し、米国の人口の4分の1を占めるほど大きな人口グル―プであり、彼らは世界で最も影響力ある購買層になろうとしているのです。
消費活動によって自分の欲を満たすだけではなく、それが社会にとって倫理的に正しいか、また誰かの役に立っているかが重要になりつつあります。
そんな価値観をもつ消費者には、ただモノを並べて売るのではなく、「この商品によって解決されること」を伝えることがポイントになると考えられています。