EC市場の拡大化に伴い、昨今では「ライブコマース」と呼ばれる手法が注目を浴びています。
特に中国では、一般的な販売手法として認知されているほどです。
そんなライブコマースですが、今後の小売業界にどのような恩恵をもたらしてくれるのでしょうか?
今回はライブコマースの概要と仕組み、メリット、デメリットをまとめました。
ライブコマースとは?仕組みを解説
ライブコマースとはライブ動画の配信を通じて商品を紹介し、視聴者に購入してもらう販売手法のことです。
専用のプラットフォームやSNSサイト、ECサイトのライブ配信サービスなど、オンライン上で接客を行います。
配信者は販売会社のスタッフが行うこともあれば、芸能人や有名なインフルエンサーが起用されることもあります。
これを聞くと、テレフォンショッピングを思い浮かべる人もいるのではないでしょうか?
ただ、ライブコマースの場合、視聴者は配信中に質問できたり、配信画面から簡単に購入手続きを行えたりします。
利便性と手軽さが加わったことで、テレフォンショッピングとは異なる魅力を誇ります。
中国では5億人以上がライブコマースを利用?
冒頭でも少し解説しましたが、ライブコマースは主に中国で拡大化しています。
利用者数は、2020年3月時点で5億5,982万人を突破しており、インターネット利用者の62%に相当します。
中国でライブコマースが普及した背景には、KOL(Key Opinion Leader)といって、中国におけるインフルエンサーの存在が大きく影響しています。
影響力のあるKOLが紹介することで、商品に対して自然に安心・安全と感じ、結果として購買意欲を上げることに繋がっているのです。
ライブコマースのメリット
ここからは、より詳しくライブコマースのメリット触れていきます。
本記事では4つのメリットをまとめました。
商品の情報を具体的に伝えられる
ライブコマースでは配信者が商品の実物を手に取り、使い方を丁寧に説明してくれます。
また、ライブ配信中に質問ができるので、疑問点が出てもすぐに解消できます。
ECサイトで買い物をする人の中には、商品のイメージが掴めないという理由から購入を決意できないことがあります。
しかし、ライブコマースを通じて分かりやすく伝えれば、商品をイメージできて視聴者の購買意欲が上がります。
購入までの導線がスムーズになる
購入の決意があっても複雑な手続きで面倒が生じたりすると、購入を取り止めてしまうことがあります。
しかし、ライブコマースはライブ動画で紹介された商品の購入ページへのアクセスから、購入手続きを行うまでのプロセスがスムーズに設計されています。
例えば、テレビや雑誌で紹介されている商品を購入する場合、別にECサイトで検索を行うところから始める必要があるため、手間が生じます。
一方、ライブコマースならすぐに購入ページに移動できて、購入まで行えるので非常に利便性が高いです。
新規の客層を獲得できることがある
芸能人やインフルエンサーの人が商品紹介を行うことで、新規の客層を獲得できることがあります。
なぜなら、影響力が大きいからです。
例えば、好きな俳優さんがCMで商品紹介をしていると、商品に興味はなくても、ついつい見入ってしまうのではないでしょうか。
それと同じで、有名な人が紹介するということは、その人のファンにも商品の存在が行き渡りやすくなります。
その結果、購買意欲を上げることに繋がるのです。
無料のアプリでライブ配信ができる
ライブコマースは、無料のアプリでライブ配信ができます。
Instagramやau PAY マーケット、SHOPROOMなど、様々なツールがあります。
低コストで始められるので、心理的なハードルも下げられるでしょう。
インフルエンサーを起用する場合は別途費用が発生しますが、自社スタッフのみで行う場合は費用を抑えられます。
課題も多い?ライブコマースのデメリット
多くのメリットを持つライブコマースですが、課題もあります。
本記事では3つのデメリットをまとめました。
売り上げは視聴者数に左右される
ライブコマースで成功するには、視聴者の数が大事です。
いくら商品の質が高くても、視聴してくれる人がいないと商品の存在を認知してもらえません。
ですから、ライブ配信を行う前に、SNSなどで告知を行って視聴者を確保する必要があります。
ある程度のブランディングを確立しておく必要がある
無名の企業が突然「ライブ配信を始めます」と告知しても、中々視聴者は集まりません。
購入してもらうことを考えたら、相応の視聴者数が求められます。
一度に多くの視聴者を集めるためには、ある程度のブランディングを確立して知名度を上げておく必要があります。
起用するインフルエンサーで質に差がある
インフルエンサーとはいっても、全員が商品紹介に慣れているわけではありません。
商品紹介に慣れていない人を起用すると、商品の魅力を上手く伝えられずにライブ配信が終了してしまうでしょう。
そのため、配信者には商品の知識や理想の紹介方法を伝えるなど、事前に入念な打ち合わせを行う必要があります。
まとめ
ライブコマースは日本ではまだまだ知名度が低いですが、実際に成功している企業もあります。
代表例として、三越伊勢丹やベイクルーズなどが挙げられます。
これらの企業を意識し、今後多くの企業が導入していくでしょう。
また、昨今では5Gの導入に伴い、よりオンラインの需要が上がってきています。
時代が変化する中で顧客が求めるものを再定義し、今後に活かしていきましょう。