市場の激しい変化や今までの常識が通用しない現代において企業が事業を継続していくには、変化し続ける市場に対応しなければなりません。そのためにはDXを活用し変化に対して俊敏に対応できる企業体質が必要です。近年、DXに取り組む企業が増えています。そこで気になるのがDXで顧客体験がどのように変化するかということです。こちらの記事では、DXの重要性とそれによってもたらされる顧客体験の変化についてまとめました。
後半ではDXによって顧客体験がどのように変わるのか事例を交えてご紹介します。
DXとは
DXとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と言われています。
日本で行われているDXのほとんどが「既存システムのIT化」であり守りのDXと言われています。また消費者が体験してきた「顧客体験」のデジタル化が攻めのDXと言われています。DX化によって売上を伸ばす場合、攻めのDXが必要です。
顧客体験とは
顧客体験というのは、顧客やユーザーが企業の商品、サービスに興味を持ち、利用するまでの一連の体験をいいます。商品やサービスの内容によっては、アフターフォローなどが必要なものもあります。その場合、アフターフォローなども含めて顧客体験と呼ばれます。顧客体験は顧客接点の集合体です。
また商品やサービスの価格や機能性といった価値だけでなく満足感や喜びなど感情や経験の価値も含めた概念と言えます。
顧客体験のDX化が必要な理由
DXの国内市場(投資金額)
参考:富士キメラ総研調査
2030年までにDX国内投資金額が業界全体で3.8倍なると予測されています。
非対面や人手を介さない業務プロセスの確立が求められるなどデジタル化への関心がさらに高まっており、業務変革や顧客接点改革などがDX投資を加速させる一因となっています。
膨大なデータに対応できない
近年はスマホやタブレット端末などの普及とともに、顧客接点は以前よりもはるかに多くなりました。例えば、これだけスマホが普及した現代では、誰もが気軽にいつでも検索エンジンで検索をすることができます。欲しい商品や興味のあるサービスに関連したキーワードを検索ボックスに打ち込めば、それに関連する商品との接点を持つことができます。このほかにも、InstagramやTwitterなどをはじめとしたSNSの急速に発達し、これらSNSのユーザーにリーチさせるためにもアカウントを活用する企業も多くなってきました。
このような顧客接点の増加は、消費者にとっても企業にとっても多くのメリットがあります。ただ、その一方で顧客接点が増えることによってマーケティングが複雑化し、考えなければならないポイントというのが膨大になってきました。このような時代背景のなかで、より効果的なマーケティング戦略を考えていくためにも多くのデータを活用し顧客体験を再定義する必要性が出てきているのです。
市場の変化に対応できなくなる
今後国内外のあらゆる業界でDXが進んでいくと、社会の需要と消費者行動に変化が起きると考えられます。例えば自社で不動産は所有せずに宿泊業界で成功したAirbnbを見ると、かつての宿泊業界では考えれなかった変化が起きています。しばらくの間は従来通りのビジネスモデルも通用します。しかし変化の少ない自動車業界にも新興のテスラが参入し、搭載されているナビ画面にてTeslaシアター(駐車中にyoutubeやNetflixなどの動画コンテンツ見放題)の視聴ができる機能が備わっています。
DXにより顧客体験を変化させた事例
ここまでDXの重要性について解説してきました。
ここからは実際にDXを取り込み顧客体験を変化させた企業の事例をメリットと併せてご紹介します。
1 イオンリテール レジに並ばない「レジゴー」
イオンテールのレジゴーは、利用客が自ら商品をスキャンすることでレジの待ち時間を減らすことを可能にしています。レジの行列ができないなど利用客にとってストレスフリーな買い物体験が可能になり購入体験の向上に期待できます。一方店舗側にとってもレジ業務に関する人件費を抑えることができると同時にデータ分析が容易になります。実際、レジゴーは売上アップにもつながっており導入した全店舗で客単価が15%〜20%向上したと言われています。
2 BMW ARを活用し自動車の購入体験を刷新【海外】
これまでの自動車の購入は最寄りのディーラーに訪れ実際に目で見て試乗し購入検討をするのが一般的でした。そこでBMW社は専用アプリを開発し自動車の購入体験に新しい風を吹かせています。
「BMW i Visualiser」
こちらのアプリはARを用いてどこにいても気になる車の実物大を様々な角度から見られるようになっています。顧客は実物を見る前に自分好みのカラーリングやオプションパーツを高い精度で見ることができます。
顧客とデジタルで繋がりを持つことで新たな販売機会を得ることができたDXの成功事例といえます。
まとめ
ここまでDXによって顧客体験が以前とは変化していることがわかりました。
- 利用者は時間や場所に囚われず商品を購入することが可能に
- 店舗でしか成立しなかった購入検討が場所を問わず可能に
DXを行なったことで利用者にとって便利な環境が整い始めています。特に「レジゴー」では売上アップに繋がりました。これは顧客体験価値が向上したと言えます。
今後も顧客のニーズは常に変わり続けます。変化し続ける市場に俊敏に対応するためには、DX化が急務と言えます。