これまで顧客に対してのマーケティングツールには、ほとんどGoogle社が提供するCookie情報を元に分析を行い、次のターゲットや販売戦略を決定してきました。

しかし、2020年4月Googleは広告目的のCookie情報を2022年までに段階的に廃止すると発表しました。

これにより従来のCookie情報を元にした顧客分析ツールは使えなくなります。そこで新しいデータタイプである0 Party Data(ゼロパーティデータ)に注目が集まっています。

 

いったいなぜ、Cookieが廃止が決定したのでしょうか?

それは個人データの透明性が求められる時代になったからと言えます。

こちらの記事では0 Party Data(ゼロパーティデータ)が注目されている要因と実際のデータ収集事例とその効果を合わせてご紹介します。

 

0 Party Data(ゼロパーティデータ)とは?

 

0 Party Data(ゼロパーティデータ)とは顧客自らが積極的に企業やサービスに共有するデータのことを指します。

これまでのCookieを用いたデータとの最大の違いは顧客の同意を得たデータという点です。

 

海外ではAir NZ(エアニュージーランド)が0 Party Data(ゼロパーティデータ)を活用した成功を納めています。このデータ活用したキャンペーン後には5億円以上の売り上げを記録しました。

 

0 Party Data(ゼロパーティデータ)が注目されている要因

0 Party Data(ゼロパーティデータ)が注目されている要因を解説していく前にこれまでの消費者のデータタイプについて解説していきます。

消費者のデータタイプ

出典元:チーターデジタル

 

消費者のデータタイプは4つ存在

  • 3rd Party Data(サードパーティデータ)

自社データでもパートナー企業でもない第三者が提供するデータを指します。自社では収集することができない外部データを指します。

 

  • 2nd Party Data(セカンドパーティデータ)

特定のパートナー企業から得られることができる外部データであり、自社で保有していないデータを指します。

 

  • 1 st Party Data(ファーストパーティデータ)

企業が保有している自社の顧客やwebサイト訪問者のデータを指します。

 

  • 0 Party Data (ゼロパーティデータ)

ユーザーが自ら企業やサービスにデータを提供する情報のことを指します。

 

0 Party Data (ゼロパーティデータ)への注目

0 Party Data (ゼロパーティデータ)が注目されている背景には3つの要因があります。

  1. 各国で進む法規制
  2. 企業で進むブラウザ規制
  3. 消費行動における意識の変化

1.各国で進む法規制

規制等の情報を整理するため時系列でまとめてみました。

参考元:Dassen boutique

2020年1月にGoogle社は2022年までに広告目的のCookie利用を段階的に制限していくと発表しました。背景として考えられるのは、世界各国で進んでいる個人情報保護を目的とした法規制の流れです。

 

2018年5月にEU圏内の個人データ保護規定とする法として「一般でデータ保護規則(GDPR)」が施行されました。さらに2020年1月にカリフォルニア州でも「消費者プライバシー法(CCPA)」が施行されました。

 

この法規制の流れは日本も同様で2020年6月に「個人情報保護法案改定」が公布されています。

 

2.企業で進むブラウザ規制

Apple社は2020年3月を持って自社の検索サービスである「Safari」のCookie情報を廃止しました。

そして世界最大の検索エンジンのサービスを提供するGoogleも2022年までにCookieを廃止すると発表しました。

 

3.購入者の変化

参考元:「2019年インターネット広告に関するユーザー意識調査」調査結果【一部抜粋】

https://www.jiaa.org/wp-content/uploads/2020/01/20191211_jiaa_user_survey_report_2019.pdf

 

これまで様々なデータ活用により、企業はユーザーに対して個人に合った情報を流してきました。その結果、便利になった一方で生活者視点を無視した過度なデータ活用が拒絶され始めています。

 

例えば、関心のない商品を一度クリックすると、その後様々な広告欄で似たような商品がおすすめされるなどの現象です。

 

日本インタラクティブ広告協会(JIAA)が5000人を対象に調査した報告によると、インターネット広告おけるネガティブな特徴として47.0%の人が「同じ広告が何度も表示されると、嫌悪感を感じる」と回答しています。

 

このことから、企業はプライバシーポリシーやデータ活用方針を再定義する必要があります。

 

0 Party Data (ゼロパーティデータ)収集事例

 

AIR NZ (エア・ニュージーランド航空)

AIR NZ (エア・ニュージーランド航空)では世界中に航空路線を持っています。しかしヨーロッパやアメリカなどではあまり認知されていませんでした。

 

そこでユーザーの食べ物の好みを切り口に、食べたい物にたどり着ける就航便を案内する「You Say Yay」というキャンペーンを実施しました。

 

結果、キャンペーン後には5億円以上の売り上げを記録しました。

アニマルプラネット

番組プロモーションのためにSNSで拡散できる動物のトレーディングカードのサイトが作られました。

 

これにより「飼い主の情報」と「どんな犬を買っているか」など生態系まで把握することができます。

 

結果として飼い主の細かい情報に加え、SNSで番組を拡散するという2つの効果を得ることができた事例です。

まとめ

 

ここまで「0 Party Data(ゼロパーティデータ)」の概要と収集事例をご紹介してきました。

 

これまではCookieを活用して顧客獲得の情報収集をするのが一般的でした。

「特定のユーザーがどんなサイトでどんな商品を閲覧したか」その情報を元にユーザーに対しておすすめ商品の広告を出したり、商品情報を提供するなどして顧客を獲得することが行われてきました。

 

しかし、これら情報の多くは3rd Party Data(サードパーティデータ)に該当し、今後Cookieの利用制限によってこれまで有効だった手段が機能しなくなります。

変化し続けるデータに対応していくためにも「0 Party Data(ゼロパーティデータ)」を活用してみてはいかがでしょうか。